メタルギアソリッド5 感想

クリアしました。

システム・操作

  • (+)操作しやすい。右スティックのFPS操作は相変わらずク○だけど、アクション性の高いものではないのでなんとか。
  • (+)慣れると潜入が目に見えてスムーズになるのは面白い。
  • (+)オープンワールド+ブリーフィングのシステムはかなり洗練されている。次にどこに行けばいいか分かりづらいという理由で日本人から経験されるオープンワールドを上手く落とし込んでいる。
    • (-)いちいちヘリ降下挟まるのは面倒くさい。長い。
  • (+)リフレックスタイムが初心者向けで良い。
  • (+)マザーベースを育てるのは面白い。
  • (-)マザーベースでもっと色々やりたかった。不思議のダンジョン系ゲームのような、進行型イベントとかあってもよかった。
  • (+)フィールド内拠点の数が少ない割にあまり単調な感じがしないよう工夫されている。
  • (+)SideOPSも結構面白い。Mainと違って気楽に遊べるし。
  • (+)兵士を揃えると班のレベルが上がり、機能が強化され、新しい武器も開発できるように……という流れは直感的かつやり込みとして楽しい。
  • (-)麻酔銃で眠らせても帰るまでに起きてしまうので基本フルトン必須なのが面倒。
  • (-)フィールド自体はステルスアクションとしては微妙な面も。射線が分かりづらい、進路が分かりづらい、待ち伏せなどの作戦が取りにくい。
  • (-)坂上ろうとしてズザー 段差上ろうとしてズザー とずり落ちるのが最悪。
  • (-)すぐ転落死する。分かりにくい。
  • (*)FOBシステムはまあ……という感じ。一度も侵入は受けなかった。

グラフィック

  • (+)素晴らしいと思う。アニメーションを除くなら、殆ど粗が見つからない。
  • (+)特に肌や布の質感が好印象。雨に濡れた時も。
  • (+)エフェクトや演出で見づらくなることはほぼ無かった。
  • (-)夜が全体的に暗くて見づらい。夜より昼の方が遥かに遊びやすいので、結局昼固定になった。
  • (-)慣れるまでは結構狭い空間での移動が厳しい。酔いそうになる。

トーリー

  • (+)開発者のやりたかったことには概ね好印象(賛否両論あるが……)。メタルギアシリーズの最後として一応ちゃんと纏まっていると思う。未回収の伏線もない。
  • (-)スネークが寡黙なのも含め、全体的に誰が何を考えているのか分からない。(ビッグボスも)
  • (-)ストーリーは分量不足……というより、中途半端な感じ。プレイ時間的には十分なのだが……。
  • (-)隔離イベントが面倒すぎる。
  • (-)ボス戦が全く面白くない上に少ない。特にスカルズ戦は最悪。
  • (*)プレイヤーが核兵器を任意で保有できる → 保有すると一定未満のレベルのプレイヤーからは攻め込まれない、文字通り抑止力として働く → でも結局一定以上のプレイヤーが攻め込んでくる → やっぱりあってもいいことなんてない、とプレイヤーが感じて全員破棄する → オンライン上でプレイヤーが全員破棄すると発動する特殊イベントがある。
    • (+)誘導せずにこういう心理状態を狙ってイベントを仕込むのはとても面白い試み。
    • (-)まあ、二ヶ月経ってまだ見れる兆しすらないんだけども……(しかもyoutubeにある)
  • (-)無線が今までに比べるとほぼ無いに等しい。遊び要素も激減。

総評

  • (+)基本的には楽しめる良作。
  • (-)時間・人的リソースが圧倒的に足りてない。人類には早すぎたゲームなのかもしれない。
    • (-)やりたいことを詰め込みすぎてとうとう終わらなかったという感じ。
    • (-)半分くらいコナミのせい。
    • (-)ミッション一つ毎に新要素、台詞収録、モーションキャプチャーなどが入るので量産体制に入っても全然量産じゃなかった可能性が。
  • (-)オンラインモードは遊んでない。こういうオフラインのコンテンツが充実しているゲームだとオンライン人口は5%程度だし、今のオンライン不評っぷりを見ているとその分のリソースを別にまわした方が良かったのでは……








以下ネタバレ注意









ヴェノム・スネークについて

  • Q. ただのモブじゃん
  • とうとう完全に遺伝的にも関係ない人が出てきた。
  • ……と思いきや、MGS2雷電も全く関係ない「作られたスネーク」だったことを思い出す。
  • そもそも、ソリッド・スネークも遺伝的にはリキッド・スネークに劣っているはず。
    • ましてや、完全にネイキッドのコピーであるソリダスは全然関係ない雷電に敗れている。
  • 実はMGSサーガにおいて「伝説の戦士は才能や遺伝ではなく役割によって作られる」というテーマがある。
    • それを愛国者達が利用し*1、人工的にビッグボスを作り出そうとした結果が雷電
    • 小説版MGS4では大きなテーマとして繰り返し述べられている。
  • なので、全く別人であるはずのメディックが、ヴェノム・スネークという役柄を与えられることで、ビッグボスと同等の存在になることは不自然ではない。
  • そしてこれは恐らく、テレビの前にいるプレイヤーがゲームの中で与えられた「役割」によって伝説の傭兵にも犬にも女の子にもなれるというメタ的な意味も含んでいる。
  • A. モブかどうかは役割が決める。ヴェノムは主人公であり、プレイヤー自身だった。

ヒューイは悪だった? "BIG BOSS IS WATCHING YOU"

  • ジョージ・オーウェル"Nineteen Eighty-Four(1984)"の影響を受けている……というよりオマージュしている本作。
  • 第一章ではスカルフェイスが、第二章ではヒューイが「憎悪の対象」として描かれている。
    • 共通の敵がグループの団結力を高めるのは言わずもがな。
  • スカルフェイスが世界にとっての脅威だということは分かった。だが、ヒューイは?
    • ヒューイは別に野放しにした所で世界を脅かすことはしない。むしろ、反核派で、平和主義である。
  • ヒューイは悪だった?
    • 彼がストレンジラブを殺したのは、テープの通り真実だろう。
    • だが、核査察を受け入れられた真意は結局謎である。
  • 作中で拷問を受けるヒューイ。主人公の側近が痛めつける相手は、あたかも悪であるかのように感じられる。
    • 拷問の結果に正当性はない。自白された真実は真実ではない。これは「1984」で、主人公が苦痛から逃れたいために色んな嘘をでっち上げることから来ている。
  • ヒューイはネイキッド・スネーク=ビッグボスを信頼していた。だが、オセロットとカズヒラ・ミラーに対しては違う。
    • サヘラントロプスの情報を信用できない相手に渡せば待ち受けるのは悪夢である。
    • 彼はわざと黙秘したのかもしれない。
  • ヒューイの追放を決定的にした隔離棟の事件に至っては、ヒューイがやったという事実どころか「放射線によって変質した」という現象さえも、それはオセロットとカズヒラ・ミラーからテープ越しに聞かされた言葉である。
  • ヒューイは、憎悪の対象にされた。
    • ストレンジラブを殺したテープは、オセロットたちにとっては非常に好都合なものだっただろう。
    • しかし仮にそれが発見されなくても、ヒューイは永遠に迫害され続け、罪を着せられ続けただろう。
    • 何せ、全ての憎悪の始まりである「核査察を受け入れた」という事実があるのだから。
  • ヒューイは追放された。だが、次の憎悪が再び生まれるだろう。
    • それはイーライかもしれない。クワイエットかもしれない。
    • 無くなったら、またオセロットが新しい生贄を探してくるだけだ。
  • マザーベース、後のアウターヘヴンは、幻の憎悪=幻肢痛を抱えてうごめく一つの生命体である。
  • そこでは、ビッグボスさえが「ファントム」である。存在しない象徴を基点として、彼らの全体主義が完成した。
  • プレイヤーもスカルフェイスを憎み、ヒューイを憎んだ。自分たちを捨てた本物のビッグボスさえ憎んだかもしれない。プレイヤーもアウターヘヴンの一部になった。
  • そして、アウターヘヴンは世界を憎悪するテロリスト集団となる。
  • こうして、ビッグボスを含めた彼らは「悪」となり、MGSの円環が正しく閉じることとなった。
    • そう、MGS5は、その全ての謎を既に明かしていたのである。

ありえたかもしれない、もうひとつの擬史

  • 例えば、自分がオチを元に設定を作るなら。
記憶喪失のスネーク
  • 主人公は、記憶喪失のスネークである。
  • 9年間の昏睡の後、目覚めた彼は記憶を失っていた。
  • だが、彼の友人、ミラーがソ連軍の捕虜となり、危機を迎えていた。自分の名前も思い出せないまま、武器を持たされるスネーク。
  • 奇跡か必然か、記憶を失ったはずのスネークは見事な潜入技術でミラーを救出する。ミラーもオセロットもビッグ・ボスの帰還を喜び、ダイヤモンド・ドッグスに彼を迎える。
  • 断片的な記憶と共に、かつての腕前を取り戻していき、任務をこなすスネーク。が、ある日大きな障害にぶつかってしまう。
  • そんな時、枕元に謎のカセットテープが置かれているのに気付く。聞いてみると、自分とよく似た声で、激励のメッセージが入っていた。
  • スネークは見事障害を乗り越え、DDを更に成長させる。それから、苦難にあたる度、彼の枕元にはカセットテープが届くようになった。
  • スネークはとうとう不思議になり、仲間たちにそれを打ち明ける。
    • 仲間はスネークを監視し、とうとうオセロットが夜中眠っているスネークが突然起き上がり、テープにメッセージを吹き込んでいる様を目撃した、と告げる。
  • スネークは自分の中に潜むもう一人の自分に苦悩していく。
  • だが、どうしても解決することができないままに、第三の子供とイーライによってサヘラントロプスが再駆動し、マザーベースが絶体絶命の危機に曝される。
  • その時、海の彼方から未知のヘリコプターによってもう一体のメタルギアがマザーベースに降り立ち、サヘラントロプスと交戦。スネークはメタルギアを支援しながら、とうとうサヘラントロプスを打ち倒す。
  • ヘリコプターから降りてきた人間は、スネークと瓜二つの姿をしていた。
  • 主人公であるスネークは、ビッグボスと同じ顔に形成手術された、かつてのビッグボスの部下だった。
  • 姿と声は似せることができるが、記憶だけはコピーできない。本人に成り代わることはできないのだ。
    • オセロットの暗示や催眠術によってそれまでの記憶を消去し、断片的な記憶を植え付けるだけで限界だった。
  • しかし、それは大きな問題ではなかった。本人かどうかではなく、役割こそが伝説たる戦士を作るとビッグ・ボスは知っていたからだ。
  • ビッグ・ボスは「本来の目的」のために姿を隠し、スネークがその代わりにビッグ・ボスという役割を課せられることとなった。
    • そして、そのサポートとして、ビッグ・ボスは定期的にカセットテープを送り届けていた。
    • カセットテープを置いたのはオセロットだった。オセロットは強力な自己暗示によって、日中その任務を思い出すことすらなかった。
    • 本来の目的とは、もう一つのアウターヘヴンの建設と、メタルギアの製造。そのために世界中を回って研究者と傭兵を集める必要があり、この最も危険な役をビッグ・ボスは他の誰でもなく自分で引き受けたのだ。
    • XOFによって自分と共に狙われる身となったスネーク(元部下)は、あえてDDのボスにされることで比較的安全な場所に置かれることとなった。
  • 立派な戦士として成長したスネークを見て、ビッグ・ボスは「お前は影武者などではない。俺たち二人がビッグ・ボスだ」と声を掛ける。
  • そうして、歴史上に現れた二人のビッグ・ボスは次なる時代を築いていくことになる。

*1:S3計画