我が家のゲームレシピ

拙ゲームサークルいるからぼでのゲーム制作工程を述べる。
くれぐれも真似しないように。

企画

まず、ゲームを作るには企画が必要である。アイデアが思いついた者はゲームの概要を纏めたイラスト入りの企画書を提出し、プレゼンを行う。企画書はA4一枚に纏められる程度に単純であることが望ましい。また、企画書を提出した者はその責任をゲーム完成まで負い続けることになる。

ということは一切無い。

適当かつ適当なゲーム制作

いるからぼでは非常に適当にゲームの制作が行われている。恐らく他の同人ゲーム制作サークルと比べても三割増しくらい適当だと思われる(個人の所を除く)。しかし不思議とプロダクトは排出出来ているので、その仕組みらしきものを説明する。

企画

いるからぼでのゲーム制作には基本的に企画書が無い。企画書を作っている暇があったらさっさと作り始めたほうが時間の節約になるからである。多くの場合(今のところ100%)、「こういうゲーム面白そうだよね」という一言からプロジェクトはスタートする。厳密に言えばいつの間にスタートしている

コンセプトメイキング

いるからぼはコンセプトをとにかく大切にする。制作全体のテーマであり、ゲームの面白さにも直結するものだからである。どんなに適当でも(限度はあるかもしれないが)、コンセプトさえブレなければ作品はある程度狙った方向に形作られていく。
コンセプトは、一言で言い表せる程度に簡略なものが望ましい。例えばIncubator*1のコンセプトは魔法少女を魔女にして食わせるQB視点のゲーム」だったし、Takkoman*2「スタイリッシュ2Dアクションゲーム」とごく単純である。FLASHゲーであるドリルナ*3に至っては「ルナチャが凄い勢いで土を掘り進むゲーム」という最早ゲームなのか良く分からないコンセプトだが出来上がったゲームはまさにそのとおりのものになってしまっている。

アプローチ

用意されたエレメント(要素)をどのようにゲームに落とし込み、コンセプトを達成するかというのがこのアプローチである。つまり具体的なゲームデザインである。アクションゲームなのか、シューティングゲームなのかから始まり、細かい自機の挙動や敵の有無、ゲームの目的などがここで決まる。
コンセプトと違い、アプローチは流動的に変化する。ゲームを面白くするためにはより良いアプローチを常に模索する必要がある。これを勘違いし、アプローチではなくコンセプトを変化させてしまうとゲームの方向性が迷走していく。
ちなみに制作中盤以降でのアプローチの変更は時に今まで作り上げたリソースやコードを無かったことにするので少々勇気のいるものである。

打ち合わせ

いるからぼには打ち合わせが無い。メンバーは常にIRCに常駐し、何か相談事があればその都度会話を始める。ゲーム内容に関しての議論もするが、時間が決まっているわけでもなく、お互いが作業しながら数時間に及ぶ会議を行った後、いつの間にフェードアウトする。
このスタイルが可能なのはコアメンバーが自分とグラフィッカーの二人だけ故であると思われる。自分が知っており相手の話してない情報はイコール議論してない情報なので、混乱が生じない。三人以上になると恐らくこうは行かず、情報が共有されていない人物Cがしばしば生まれるため、きちんと時間を決めた打ち合わせを行い議事録を取る必要があるだろう。

叩き台先

大人数での作業では綿密に仕様書を練り上げ、設計を済ませてから実装に取り掛かる必要があるが、小規模な同人ゲームサークルにはもっと効率的な制作手法がある。各々が勝手に叩き台を作り、「文句があれば言え」というスタンスで作業を進めるのだ。いるからぼでは基本的に大枠の情報を共有し、細かい部分に関しては各々の責任で作り上げ、もし意見がある場合は随時言っていくという形を取っている(まあ、大抵そのまま採用されることはないのだが)。
コンセプトやゲームの方向性がしっかりしていれば、この方法で「作り直し」が出るほどの文句が出ることはない。もし全ボツを食らうなら、きちんとゲームの方向性が理解出来ていないということなので、対話を重ねるべきである。

ゲームデザイン

打ち合わせをしない代わりに、プロダクトはとにかく頻繁にレビューする。グラフィックは実際にゲーム内に実装されない限り見え方が分からないため、実装後に変更を加えられることも少なくない。また、操作感など細かいパラメータは誰にでも操作できるようにし、重力やダッシュ速度など最適な値を吟味する。
α、βまで完成した場合は更にそれをサークル外の身内に遊んでもらう。コンセプトを知らされていない彼らは自分の感じたままにゲームを遊ぶため、ここで制作側の意図した通りの遊びが提供できているか確認することができると共に、制作者の気付かない細かなストレスポイントやバグを見つけられる。
しばしば、意図していたゲームデザインとはややずれた位置に優れたゲーム性を発見することがある。それに合わせてアプローチを作り変えることも重要である。例えばIncubatorは本来もっとゆったりとしたゲーム進行にするつもりだったが、プレイヤーが割と早い操作を良しとしたため、最終的にスピーディな展開を前提としたゲームとなった。

まとめ

以上がいるからぼにおける適当なゲーム制作の概要である。当然ながら、他の同人ゲームサークルが同じような適当さである可能性は限りなく低い。重ねて言うが、真似してはいけない。
が、もし貴方がそんなカッチリゲーム制作をやりたくなくて、かつ何とか作品を完成させたいならどれか参考にしてみるのも一興ではある。オススメはしないが。

補足

ここに書いてある内容は、あくまでいるからぼのゲーム製作工程を小難しく分解したらこうなった、というモノなので実際は更に適当である。IncubatorとかQB主役のゲームを作ろうって言い合ってたらいつの間に出来てた。そんなもん。